「雇用形態」とは

全ての従業員は、会社との「雇用契約」のもとに労働を提供しています。
現代ではライフスタイルが多様化し、政府の主導もあって企業の働き方改革も進んできています。それらに伴い、雇用のカタチも様々なものが浸透してきていますが、もともと日本にはいくつもの雇用のカタチ(雇用形態)があります。この「雇用形態」にはどのような種別があるのでしょうか。簡単にご案内します。
なお、整理の切り口には3種類あります。「無期契約と有期契約」、「直接雇用と間接雇用」、「正規雇用と非正規雇用」 です。また、常勤か非常勤かによっても違いが出てまいります。

「無期契約と有期契約」

無期契約
定年までの間で「期限の定めのない」雇用契約を指します。長期継続雇用を前提とした雇用形態です。
一般的には、「正社員」や「無期社員」がこれに該当します。

有期契約
「期限の定めのある」雇用契約を指します。様々な業務形態・都合や、業務の繁忙対応などに合わせた雇用形態です。
一般的には、「契約社員」、「再雇用社員」、「パート社員」、「アルバイト社員」などがこれに該当します。

「直接雇用」と「間接雇用」

直接雇用
企業が労働者と直接「雇用契約」を交わすことです。
日本においては、労働者は「直接雇用」が原則とされています。中間搾取や強制労働などの弊害を生む原因となるためです。

間接雇用
企業と労働者の間に直接の雇用関係がなく、第三者の立場で業務の指揮命令を行う、間接的な雇用の形態です。
労働者は「直接雇用」が原則ですが、労働者派遣法に基づく「派遣労働」に限り合法化されています。実質的には労働者派遣会社を介した間接雇用とも言えます。

「正規雇用」と「非正規雇用」

正規雇用
以下の2点を満たす雇用形態です。
(1)従業員が企業(使用者)の元で常勤(フルタイム)で就業する雇用形態であること。
(2)雇用契約が「無期契約(就業する期間を定めない契約)」であること。
※ 労働法令上は「通常の労働者」と呼称されています。
一般的には、「正社員」や「無期社員」でフルタイム勤務している従業員が該当します。

非正規雇用
「正規雇用」以外の雇用形態は、全て「非正規雇用」です。
「非正規雇用」の分類としては、「有期契約労働者」、「短時間労働者」、「派遣労働者」があり、全てこのいずれかに該当します。以下、補足ご案内します。

有期契約労働者
企業との間で有期(期間の定められた)雇用契約を締結して、職務に従事する労働者です。
一般的に、契約社員、有期社員、嘱託社員、臨時社員などと呼称されています。
3ヶ月、半年、1年程度の期間で契約書が取り交わされることが一般的です。
判例によると、有期契約の期間中は「無期雇用」よりも拘束力が強いとされ、期間中はやむを得ない事情がない限り、会社側からの雇用終了や労働者側からの退職は制限されます。
仮にやむを得ない事情がない状態で、会社側が期間途中で雇用終了する場合、期間終了までの間の給料補償が生じたり、逆に労働者が期間途中で退職する場合、会社に対する損害賠償の支払いの可能性が生じる可能性があります。

・短時間労働者(パートタイム労働者)
1週間の所定労働時間が、同じ事業所で雇用される「通常の労働者(正規社員)」よりも短い労働者です。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法))
無期契約の労働者の場合、「時短社員」などと呼称されています。
≪留意点≫
*パートタイム労働法上は、無期契約(正社員)であっても「短時間労働者」となります。つまり、正社員であっても、介護休業や育児休業の後で時間短縮勤務をしている人は、短時間労働の「非正規雇用」に該当します。ここは誤解の多いところで、単純に「正規雇用の割合が低い」ことが「正社員の割合が低い」ことと同意ではありません。
*通称「パートタイム労働法」、正確には「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」と言いますが、これは「短時間労働者」全てに関するもので、いわゆる「正社員」も対象です。ここも誤解があるところですが、一般的に「パートタイマー」「アルバイト」などと呼称されている人たちだけを対象とするものではありません。

派遣労働者
派遣元となる人材派遣会社に登録し、派遣先(取引先)となる事業所へ派遣され、派遣先担当者の指揮命令のもとで職務に従事する労働者です。

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以上、「雇用形態」について簡単にご案内しましたが、言葉の説明だけでは少し理解しにくいところがありますので、下記に「雇用形態」の全体像を図解します。
「無期雇用・有期雇用」 「正規雇用・非正規雇用」「直接雇用・間接雇用」 「常勤・非常勤」の区分で表しています。


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