会社は変わらなければ
ならないのでしょうか?

「企業を取り巻く経営環境は常に変化しています」

よく耳にすることですが、どう変わっているのでしょうか。私たちの会社も変わらなければならないのでしょうか。

身の回りを見てみると気づくことがあります。

例えば天気予報。入道雲が出ているから夕立が降る、今日は朝焼けだから雨になる、という生活の知恵から、今日では、人工衛星によって地球規模で天候状況を監視しコンピュータを駆使して精度の高い予報を出しています。漁師が漁に出る際も、海や空の様子を経験から読むだけではなく、この精緻な天気予報を取り入れています。

室町時代に始まり江戸時代に隆盛となった打ち上げ花火は、伝統技術を維持しながらも、現代ではコンピュータ制御により点火・打ち上げタイミングを最適化しています。

ほんの一例ですが、産業の発展に寄与するため、人々の安全のため、手間暇を削減して効率化するため、そして競争に生き残るため、身の回りでも様々変化しています。

世の中が変わり続ける以上、企業の永続を目指すのであれば、程度の差こそあれ、やはり企業も変わらざるを得ないところがあると言えるでしょう。

現状の維持と
変化の必要性

確かに企業を取り巻く経営環境は大きく変化してきました。

この30年、グローバル化の急拡大、IT技術の進化・高度化、会社法施行による企業統制の強化など、重大なターニングポイントがありました。

そして今、少子高齢化による労働人口の減少、就労年齢の高齢化(高年齢者の雇用義務化)、若者の長期雇用から短期雇用へのシフト、正規社員の減少と非正規社員の増加など、雇用環境も大きく変化しており、生活環境の進化によってライフスタイルも大きく変化して、働く者の価値観は多様化しています。

このような中、社員が会社の求める方向に意識を向けて行動し、かつモチベーションが高い状態を維持し続けていくことは、企業にとって欠くべからざるものでしょう。

一方で、「昔からこの方法でやってきた」「過去の成功体験」「我慢することが美徳」など、人は、行動経済学でいう「現状維持バイアス」、つまり未知のものを避けて現状維持を望む心理を持っています。

いつもと同じ状況ならある程度予測できるので安全と判断しますが、変化は予測できないので不安を感じます。そのため、できるだけ現状を維持しようとする心理、安定していたいという心理がはたらきます。

このようなことから、企業が経営環境の変化に合わせて即座に変化・対応していくことは、そう簡単なことではないと思われる方も多いのではないでしょうか。

変わらないと
何が起きるのか

顧客や市場が常に変化し続ける時代において、消費者ニーズは多様化し、求められるサービスも多岐にわたっています。

企業もそこに対応するために変わり続けていかないと、求められる価値を提供できなくなりかねず、成長し続けることは難しくなってしまいます。

社内の一つの仕組みをとってみても、維持と改善・変化が繰り返されていくものなのですが、ここでも「せっかく覚えたものなのでしばらくはこのままで行きたい」という気持ちが働き硬直化していると、時代の流れに合わせた効率化などが進まず、取り残されるようなことにもなりかねません。

また一方で、新たに入社してきた若い世代の社員では、旧来のやり方にこだわる、変えるべきなのに変えていない、というようなことに対してストレスを感じることも多くなってきています。

会社の将来を支えてくれる社員を確保し定着させ、その流出を防ぐためにも、時代の要請に合わせて会社を変えていくことが重要であることが伺えます。

もちろん、経営者の目指す方向に、全ての社員が向いていなければなりません。

「思考」と「行動」を
変えることによる一歩

具体的に企業が変わるということは、そこで働く人が変わるということにほかなりません。たとえ仕組みを変えても社員が受け入れてくれなければ、効果的な運用まで至ることは難しくなってきます。

それでは働く人の何を変えていくのか、それは「思考」と「行動」、この両方です。
社員の思考(マインド)が変わっても具体的な行動に反映されなければ、なかなか結果には結びつきません

では、この働く人の「思考」と「行動」を変えていくためにはどのような方法があるでしょうか。

ひとつの効果的なアプローチとして、マネジメントを行う役割の側とマネジメントを受ける立場の側のそれぞれに対応しながら、連動させていく手法があります。

この流れとしてはまず、
 ① 企業のビジョンと今後に向けたメッセージを発信し、変わり続けていくことの必要性を認識していただくことが重要です。
その上で、
 ② マネジメントを行う役割の人には、適切な(本来あるべき形での)部下とのコミュニケーションを実行できるようにしていきます。
そして、
 ③ マネジメントを受ける立場の人には、変化の時代に組織で働く者として、必ず意識していなければならないことを認識できるようにしていきます。
更に、
 ④ これらが連動する流れをつくり、評価との連結まで進めることによって、さらに有効性を高めることができ、定着させることが可能になります。